直訳では、「洞察(力)」「眼識」「識見」「物事の実態・真相を見抜く力」などとされますが、ブランディングやマーケティングにおいては、インサイトは自身に顕在化されていない無意識下にある深層心理の中にある潜在ニーズを購買欲求へ変化させるスイッチのようなものと定義づけられます。消費行動の根底にある隠れた動機・本音ともいえるものです。
ターゲットのインサイトに刺さるブランドの価値を発見することはブランディングの要諦となります。ターゲットの深層心理に埋もれた潜在ニーズを“鍵穴”に譬えるなら、その鍵穴にカチリとはまり「欲しい!」「好き!」といった直感的な欲求の扉を開ける“鍵”がブランドインサイトと言えるでしょう。
深層心理の中に内在されるインサイトには、その時代・時勢に影響される時代インサイト、自身を取り巻く環境・社会・世間・コミュニティから形成されるソーシャルインサイト、育った家庭環境や元々持っている性質・性格あるいはヒトとして本能的に持ち合わせているヒューマンインサイト、商品やサービスが属するマーケットカテゴリーに対するカテゴリーインサイトなどが混在しています。“鍵穴”を開けるブランドインサイトの発掘には、こうしたインサイトによる“思い込み(固定概念)のタガ”を外す「気づき」を与えるのも突破口の1つとなります。
インサイトを探るとは、言動・行動・感情・思考を紐解き、その深層を分析することであるため、調査手法も、アンケート調査、インタビュー、行動観察、ソーシャルリスニング、コラージュエクササイズや文章完成法等の投影法など、多岐に渡ります。